四天王寺
聖徳太子が仏教による国造りを訴え、推古元年(西暦593年)に創建されたのが四天王寺の興りです。以後、日本仏法最初の寺として信仰を集めました。このため、伝教大師、空海といった仏教各宗の祖師が同寺にて修行されており、現在も各祖師のお堂や銅像、掛け軸がいたるところにお祀りされ、法要も営まれています。また、平安時代、阿弥陀信仰が興ると日本で最も美しい夕日を拝むことのできる日想観の修行場として賑わいます。伊勢物語などを読むとその頃の雰囲気の一端がうかがえますし、現在もお彼岸には西大門周辺に老若男女が集まり、沈みゆく夕陽に手を合わせる姿を見ることができます。時代が下って江戸時代以降は世界に誇る商都、大阪(大坂)の仏壇として民衆の信仰を集めました。
昭和に入って室戸台風、大阪大空襲と五重塔は二回失われましたが、その度に庶民の御浄財で再建がなされたことは記憶されている方も多いでしょう。京都より古い街である大阪と共に千四百余年を数える大寺は庶民の信仰によって今も支えられているのです。
本堂である金堂には聖徳太子御本地仏である救世観世音菩薩と四天王、仏舎利がお祀りされています。また、日本最初の社会福祉施策と言われる四箇院も学校法人四天王寺学園、社会福祉法人四天王寺福祉事業団として継続しており、現在もそれぞれの分野をリードする存在です。